「命があってこそ」…
この意味が深く深くなる日々…
今、父は体が衰弱の過程を辿る中で
その肉体のなかに魂だけは「美しく」宿らせ
まるで螢のような光を
ポッポと放っている…
弱音を口にすることはなく
しんどいだろうに
硯に水を入れ、墨をすり
私が探してきた和紙の上に
一筆一筆
気持ちを込める…
時折
「智ちゃん、墨のにおいはエエ香りやなー。
気持ちいいな〜」
そう言って筆を置き
墨がなくなりかけた硯に
「また水を足しておくれ」と催促しては
私は水足し
足したお水に
弱い力で、ゆっくりと墨を磨り
また筆をとる…
私は細くなった父の手に
そっと手を当て
父にただ触れていたいと
そう思う…
今まではただ
「父親」という言葉が壁になり
父を「出逢い」という側面で
捉えた事がなかったけれど
父が病にかかり
父親という垣根がはずれ、ただ「人」として
山本雅造を深く知るようになった…
「あ〜ぁ、私は、まずこの世で最初に
父と母に『出逢った』のだな…
そしてこの出逢いの意味を知るための修業が
生まれて来てから、そしてこれまでの
日常生活の中で、起こっていたのだな…」
そんな風に思うようになった…
この「出逢い」の意味、そこに付随するあらゆる苦味を掴み取らないと、
また同じ事が別の形で現れて、次には進めないのだと理解するようになる…
父の書は
『一期一会』…
この書の意味は深く
そして、この書は父が元気だった頃よりも
大きなものに私の心には映る…
父の日に送った手作りの椅子に腰掛けて
嬉しそうにしている父…
「命あってこそ…」
病にあっても
気丈に過ごす父の見事な生き方に
これでもかと言わんばかりに教えられ
心が洗われ
部屋を後にしたあと
私は弱くも涙が溢れ出し
止まらなくなる…
「命あってこそ…」
お父さん…
出逢ってくれて
ありがとね💗
この出逢いの意味を
ずっとずっと深く私は噛み締めて…
温かく父のケアーをしてくださる施設の方にも
感謝して…
投稿者プロフィール
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財団法人RINDA foundation JAPAN創設者/代表理事
株式会社らしゅえっと代表取締役
NPO「恩渡しネットワーク」代表
2014年1月より、「生きやすさ」と「循環(持続可能性)」の2つのキーワードを活動ポリシーに、除菌水シリーズ「まましゅっしゅ」の商品企画、制作、販売。2年連続で「キッズデザイン賞」を受賞し注目を集める。
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