大介護時代突入前に考えさせてくれた事は大きい

カテゴリー:いま・ここ・私

公開日:2017.12.16

これまで、本当に
病気一つした事がなかった父。

元気な姿しか見たことがなかった私は、父を介護するなんて事を考えたこともなかった。

ところがである。
昨年4月に父が急性骨髄性白血病だと
医師から電話があり、私の意識は一変する。

人生、何が起こるか何てわからないものだ。

昨日まで元気だった人が
次の日には大きな病気を患っている事が
判明する事だって普通に起こる。

年をとっての大病は
想像以上に体力を奪う。

父の場合、白血病の治療の過程で引き起こされた肝炎、脳炎という合併症が相当量の体力を奪っていったが、そんな中でも『介護』という二文字は私には思いもつかず、「元気でバイタリティ溢れる父は、必ず復活する!!」というイメージしか描けないでいた。

食事ができず、体中が浮腫、毒素が体中を覆うようになっていく日々…

合併症を患ってから、みるみる痩せていった…

起き上がることも、パンツの脱ぎ着も
何もかも、人を介さなければできない状況になり、その様子を何ヶ月も目の当たりにして初めて、私は現実を受け入れるようになり、ようやく『介護』という二文字が現実に自分の身に起こっている事を認識しはじめる。

父の資産。
年金。
これまであまり気に留めることもなかったが、長期入院、そして介護する環境が現実的になって、目減りしていく。
働けなくなった父が、余生を末永く活き活きと威厳を持って生きられる事を考え始めた。

娘に金銭的な援助など受けたいと思わない父であることは、よくよく知っている。

なぜなら昔から
『男に甲斐性が無くなったら、
首がないのと一緒や!!』
と、そう言っていた父だからだ。

私も父の惨めな姿など見たくはない。

「こりゃ、上手いこと智慧を絞って
お父さんの資産を極力目減りさせず
運用するしかないな」

そんな事を思い
家を売却して、収益性のある家を一括で購入し、父が仮に施設に入所したとしても、家賃収入で生活ができる資金を生み出す事を考えた。

それにしても家の売買は運が物を言う。
しかも今回のような場合、色んな細かなハードルがあり、夫々のパズルが上手く嵌まらないとどうしようもないものがある。

さ~どうするか。
一か八か…。

一か八かの『運』にかけた。

すると運は巡ってきた。

京都の家の売却、運用する東京の家の購入。
これには期日が相当に物を言うが私のスケジュールをどうにかすれば何とかなるところまで来た…

「神様…父の味方をしてください…
私を使って動かしてください…」

そんな思いで日々を過ごし
猛烈なスケジュールで京都の家を更地にするまでの作業を私一人でこなし、何とかかんとか、ギリギリセーフで売買にこぎつけた。

思い返しても、この物件売買に関しては、思いがけない人との出逢いの連鎖があり、何とドラマティックな出来事の連続だった事か。

父は間違いなく『持っている人』だと思った。

父の体の回復も、何ともドラマティックな物だった。

『病気』という二文字は、本当の父、娘にしてくれた。
『介護』という二文字は、愛情と智慧を運んでくれた。

自分たちが介護される側に立ったとき、如何にお金がかかるのか、受け入れ先の範囲、大介護時代に突入するこの「今」、現実を知れたことは、自分自身の「これから」を考えていく上でも、本当に大きな大きな「意味」があった。

つい数年前まで、待機児童問題で頭を抱えていたが、ある意味、待機児童問題は介護の壁に比べたら、可愛らしいものかも知れないと思えた。

こうして父は私に、色んな事を考えさせてくれる機会をくれたのだ。

生きてなお教え続ける父の大きな背中。

父とはそういう存在である🦉

愛は何より人を動かす…

投稿者プロフィール

有川 凛
有川 凛
財団法人RINDA foundation JAPAN創設者/代表理事
株式会社らしゅえっと代表取締役
NPO「恩渡しネットワーク」代表

2014年1月より、「生きやすさ」と「循環(持続可能性)」の2つのキーワードを活動ポリシーに、除菌水シリーズ「まましゅっしゅ」の商品企画、制作、販売。2年連続で「キッズデザイン賞」を受賞し注目を集める。

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