ボクは考えた。
ボクは考えた。
もし、目の前のリンゴ、このリンゴがみんなには青に見えていたら。
「美味しそうな赤色だね」って言っているのに、ボクとは違う「青」に見えている。
もしかしたら人によって「黄」だったり「紫だったりバラバラに見えていたりして。
でも、やっぱり「赤」だと思っている。
どうやったら分かるだろう?
ボクは考えた。
もし、ボクの見えている世界以外がみんな真っ暗だったら。
今見えている木も、後ろを向いたら消えていつ、仲良しの友達も学校で会っていない時はもしかしたらこの世界にはいないのかもしれない。
そしたらどうしよう。
怖くなって後ろをパッと振り返ってみる。
でもそこにはやっぱり世界はあって、暗闇の尻尾すら見えない。
友達もやっぱりそこにいる。
ボクは考えた。
今見ていることは全部夢で、寝ている時の夢が本当の世界なんじゃないかって。
そしたらボクは空を飛べるし、宿題もしなくていいんだ。でも時々、怖いお化けに追いかけられる。
どうやったら分かるだろう?
ボクは考えた。
もしボクの未来の何もかもが決まっていたら。大人になった時の仕事も奥さんも。来週のテストの結果も。明日お母さんに怒られることも。もしかしたら、さっき犬に吠えられたことも決まっていたのかな?
そんなふうに考えたら、宿題するのもバカらしくなって、ゴロゴロしていたっていいじゃん?なんて気になってきた。
だって、決まっているんだから。
…いや、まてよ。
こうなることも決まっていた?
ボクは慌てて宿題の続きをはじめた。
ボクは考えた。
ボクの考えていることは、ボクだけの特別な考えなんじゃないかって。
そしたらね。
「わたしもー!」って言われて何だか嬉しくなった。
考えたことをいっぱい話したら
どんどん世界は広がって、答えはどこにも見つからなかったけど、とっても興奮した。
ボクの考えていることは、大人も昔考えていたことで、でも、いつしか忘れてしまったこと。
ボクの考えていることは、ボクが生まれるずっとずっと昔から賢い学者さんも考え続けていること。
みんなはどう考えた?
・・・子供のころからずっと気になっていたいろんなこと、それをそのまま子供たちに伝えたら、子供たちも(みんなではないけれど)同じように考えていて笑ってしまった。哲学・・・といってしまうとかっこつけているようで恥ずかしい。でも、こうやって子供たちとのああでもないこうでもないと考えてみることは世界を広げているようでとっても好きなんだ。
投稿者プロフィール
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ボクは、トイトイ。
ごくふつうの町のごくふつうの学校でせんせいをしている。
「せんせい」と呼ばれるのは少しくすぐったくて、
子どもたちからは「トイトイ」って呼んでもらっている。
ここで話すのは、ボクが子どもたちと一緒に見聞きしたこと。 学んだこと。考えたこと。
そんな何気ない日常のひとかけら。
ごくふつうの日々だけど特別で大切な言葉で綴られた物語。
【とし】「お兄さん」から「おじさん」と呼ばれるようになってきたぐらいの年。
【すき】あるく。ラムネ。本。料理。
【きらい】すぅーっとするもの。
【学ぶ】ことば。てつがく。
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