記憶の引き出し

カテゴリー:つぶやき

公開日:2021.01.13

絵を描く。もいいけど、気ままに色を置いていく感覚がすごく好き。自ずから色やパターンが生まれて行く。出来上がった作品はテキスタイルのようで、そこもまたぐっとくる。
小さいときからよくこうやってお絵描きしていた。テキスタイルが好きなのもそう。小さい頃の記憶が洋服や模様に結びついていたりもする。
何でこんなにも惹かれるのか自分でも不思議なんだけど、こないだ読んだ皆川明さんの本の中に似たようなエピソードがあって、妙になっとくした。
多分、母がパッチワークをやっていたりぼくの洋服を作ってくれていたこと。あとは恩師の影響で色んな本物を見せてくれた。そうした“よい記憶”がボクを作っている。記憶といっても無意識に漂っているくらいの小さな小さなもの。
そうなるとボク自身もまた子どもたちの“記憶”になっているんだよなぁと振り返る。随分前に、子どもたちが描くボクの絵が決まってジャージだったことがあって、なんか嫌だなと思ったことがあった。それから、汚れなんか気にしないで自分が好きなもの、着たいもの、いいものを着たいと漠然と思うようになった。まぁこれは服を買う口実だったりするんだけど。
服に限らず、ボク自身が良くも悪くも子どもたちの記憶や感覚に残るのであれば、自分がいいと思うもの、面白いと思うことを素直に大切にしている自分でいたいなと思う。いや、ボク自身にそんな影響力があるとは思ってはいない。思ってはいないけど、少なくともボクはそう在ることを心にもっていたい。
そんな話を友人にしたら「記憶は引き出されるのを待っているんだよ」って教えてもらった。大きなことも小さなことも、もしかしたら引き出されることはないのかもしれないけれど、子供達の引き出しにしまわれている。だとするとやっぱり一瞬を、今という時を、僕というあり方を大切にしたいな。

投稿者プロフィール

トイトイ
トイトイ
ボクは、トイトイ。
ごくふつうの町のごくふつうの学校でせんせいをしている。
「せんせい」と呼ばれるのは少しくすぐったくて、
子どもたちからは「トイトイ」って呼んでもらっている。

ここで話すのは、ボクが子どもたちと一緒に見聞きしたこと。 学んだこと。考えたこと。
そんな何気ない日常のひとかけら。
ごくふつうの日々だけど特別で大切な言葉で綴られた物語。

【とし】「お兄さん」から「おじさん」と呼ばれるようになってきたぐらいの年。
【すき】あるく。ラムネ。本。料理。
【きらい】すぅーっとするもの。
【学ぶ】ことば。てつがく。

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