祖父と父親と息子

カテゴリー: ─ いま・ここ・私

公開日:2019.04.23

夫と結婚をした時に、
義母から渡された二冊のノートがありました…

それは夫が通った田無(西東京市)にあった
「忍者幼稚園(幼稚園問題研究所)」での
連絡日誌です…

そこには
先生とお義父さま、お義母様の
日々のやり取りが書かれていました…

私は義母の物腰の柔らかさや
内面から溢れ出る品の良さ
雰囲気が大好きで
直ぐに好きになったものですが
このノートは
私にとって宝箱のようで
「あ〜、石丸淳さんという人は、
こうした育みの中で育ったから、
この何ともどっしりとしたところ、
毛並みの良さがあるのだな…」
と思ったものでした…

特にお義母様のお育て方の中で
私が絶対に受け継ぎたいと思いましたことは、子どもが自ら発する「したい」に寄り添い
可能性を引き出してあげることでした…

「お勉強をしなさいとは言わなかったの。
ただ息子が関心がある事、
したいと言った事には
思いっきりさせてあげてね。

例えば…
私がいつもラジオを聞いていたものだから、
息子はラジオから流れる
お相撲さんの名前に興味を持ってね。

だから、息子はその名前を覚えたり、
書きたがったりして…

たしか3歳か4歳の頃…

お相撲の番付表を見せてあげたら、
息子は途端にお相撲さんの名前とともに、
漢字を覚え始めて…

いつの間にか、
全ての力士の名前と漢字を書けるようになって…」

そういうエピソードの幾つかを
そっとお話いただけたことが
私の中で種になり、
夫、淳さんとともに
息子たちを育てる中で
『息子から言い出した事を大切にする』を
大事にしています…

今朝、次男坊の事で
お義父様に御礼のお電話をした時のこと…

ふと長男の話になり
「今、ケイはSKIに没頭していて、
世界一になりたいから外国へ行きたいなんて言い始めちゃって…
今、色々とその方向で考えていて…」

なんて言う話をそれとなくしましたら
思いの外、嬉しそうな反応で
「それはとても良いこと!!
是非、みんなで応援しましょう!!
ゴールデンウィークに山梨の山の家でゆっくり話しましょ!!」
ということに…

なんだかこうして
息子たちの成長通じ
世代間の会話が生まれて行くことが
とても気持ちの良いものに感じられました…

【最後に】
夫 淳さんが卒園した幼稚園の先生方へ
義夫が書いた手紙があるのですが
この内容は、息子に何かあると、
そこに立ち返ってふと読みたくなるものです…

今の世にも非常に大切な事が書かれていますし、夫、淳さんの「根っこ」は、お義父様が望んだように、しっかりと張っていることを、私たちは自分の息子達を育てていく中で、キチンと表現していきたいなと思っています…

〜・〜・〜
この二年間、行き届いた親身な御指導をいただき、誠にありがとうございました。日々のお便りも楽しみに拝見させていただきました。正直申して、送り迎えをせねばならぬ親の身にとりましては、些か辛い月日でしたが、なんとかそれを乗り越えられたのも、先生方の御教育に大きな価値を見出すことができたからでした。
何よりもそのことを幸いに思っております。

一生の間の二年間といえば、一見些細なようにもみえますが、しかし人間が生きている者である限り、幼児期の体験はいつも人間につき従い、折節、人間がそこから何かを汲み取る重要な源泉であると思います。

その源泉が豊かであるかどうかで、人の一生も変わってくるでしょう。

一人の人間が生きる世界は昔とは比較にならぬほど広がり、知識も情報も豊かな時代ですが、しかし物事の真の出会いは皆無といっていいほどです。

この子らが成長したときに、いつもそこへ立ち帰る幼児期とはどのようなものであろうかと想像すると、うすら寒い気が致します。

それだけに、先生方に導かれたこの二年間は今後いっそう増幅されて息子にとって大きな意味を持ってくるに違いないと思います。

息子については、今特に何も注文は持っておりません。過大な期待をかけるつもりももとよりありません。

可能性を最大限に開発してやる努力は必要でしょうが、無論それにも限界があり、成長とは所詮、自力で成し遂げるものでしょうから、自分の置かれた立場で、精一杯の努力をして生きる人間になって欲しいと、ただそれだけを期待しております。

言い換えれば、親の義務としてその精神だけは植え付けねばなりません。

些か親馬鹿すぎますが、息子はそれに答えてくれると信じております。

模造品が巾をきかす複製文化の時代にあって、本物は本当に得がたくなりました。

残念ながら教育ですら、しばしばその例外ではありません。

純粋なものはますます存在しにくくなっております。

田無の幼稚園問題研究所(忍者幼稚園)には、その「時代錯誤」的な純粋さがまだ残っていると思います。

色々悪条件、困難な状況もあるでしょうが、今後、いつまでもそれが失われぬことを願ってやみません。
最後に重ねて御礼申し上げます。
〜・〜・〜

投稿者プロフィール

有川 凛
有川 凛
財団法人RINDA foundation JAPAN創設者/代表理事
株式会社らしゅえっと代表取締役
NPO「恩渡しネットワーク」代表

2014年1月より、「生きやすさ」と「循環(持続可能性)」の2つのキーワードを活動ポリシーに、除菌水シリーズ「まましゅっしゅ」の商品企画、制作、販売。2年連続で「キッズデザイン賞」を受賞し注目を集める。

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