宝石のような絵本を作る場所

カテゴリー:RINDA foundationのこと

公開日:2018.05.08

宝石のような絵本を作る場所が
南インドにある…💎

大昔の印刷とは
こういうものであった筈というやり方で
まるで伝統工芸品というような
一冊一冊の絵本を作りあげていく出版社…

インキの色は
職人が見本画を見、
色をあれこれ混ぜ合わせて
微妙な匙加減で絶妙な色を
一色一色作り出す…

そして色付け…
一色、色を付けては乾かし
その上にまた別の色を付けては乾かし
それを色の数だけ繰り返し、繰り返し
そして絵本の中の一枚一枚を
手作りで作り上げる…

この色付けの工程の前には
色数に応じて
版となるスクリーンを
何枚も作るわけだが
スクリーンの作り方は
ガラス工芸の江戸切子のように
砂で削っていくサンドブラスト…
ここも一枚一枚が職人による手作り…

生産方法も機械ではなく人力…

三人一組になり
紙をセットする人
色を置き伸ばす人
色の付いた紙を乾かす人
というように一枚一枚を
手際よく分担して進める…

三人一組が五組…
一組が一日、3000枚を刷り上げる…
だから一日の生産は15,000枚…

表紙についても
同じように手作りだがここでは描写を省く…

こうして刷り上がった一枚一枚を束ね
一人の熟練のおじいさんが
紙を縫い合わせていく…

厚手の表紙と合体させる作業があり
ようやく一冊の絵本が産まれる…

だから私は
宝石のような絵本を作るところだと思っている…

「売れてなんぼ」「売れる本しか出さない」というのが出版業界の常識だと思うが
そんな、大量生産が当たり前のこのご時世で
その工程を貫く「物としての価値」…
そして、この出版社の創始者の物事の考え方
そして在り方に対し
私はいたく惚れ込んでいる…

そして世界中の子どもたちと一緒に
絵本を作り上げるならば
どうしても、いつかはこの出版社でと
思っている…

ただ価値ある物を国境など関係なく
未来に継承したいと素朴にそう思う…

第一話を書いてくれた子どもが書き上げたストーリーを初めて読み終えた時をふと思い出す…

そこにはただ透き通るような感性で綴られた世界があり
「あ〜これは、まるで宝石のようだ」と思った…
あの感触が今もなお、この胸に残っている…

第一話には正直、物事を知り尽くしてしまった
大人が書き上げるような
エグミやドギツさはそこにはない…

でも純粋で素直すぎる汚れなさを持つ主人公として書き上げられている事がかえって
第二話以降に書き上げられていくだろう
荒波だらけの大冒険を
純粋さとエグミのギャップで
引き立ててくれる気がしてならないでいる…

さてさてそれはさておき、
出版業界に携わったことなど
全くないこんな私が
熱い思いで
ただ無謀にも絵本を作ろうとしている…

それを傍らで見ているパートナー…
何とか少しずつでも実現できるようにと
あの手この手で私をサポートしようと
今日は忙しい中、飛行機に乗り『あの出版社』を実際に訪れ、実況中継のように、解説付きの現場の写真をリアルタイムに送ってくれた…

 

父のことで、ここのところ
完全に元気のない私を
どうにかして元気づけたいという気持ちが
痛いほど伝わるスナップ写真の数々だ…

そしてパートナーは話の結びを
こう言って締めくくった…
「RIN、ここへ実際に来て、この話は夢でなく現実になると感じたよ。
貴女が来月末、ここに来れば、みんなが貴女を好きになる。ここの人達は、そういう人達だよ。自信がある。」と…

そうか…
それは楽しみだな…
ありがとう…

そして私はこう思う…
人の気持ちというのは
言葉の土台が違おうとも
国が違おうとも
宗教が違おうとも
性差やそういったバックグラウンドが
何一つ違おうとも
血縁関係もなくとも
金銭や契約という縛りをかせる事なく
こうして深く信頼しあい
繋がれるものだと…

そしてその事実をただ
自分というフィルターを通して
伝えたいのだろう…

最後にもう一つ…
こうして一枚一枚作り上げられていく絵本の価値を、果たしてどれくらいの人が気づき、わかるだろうか?
もちろんこの絵本は、数量が限定されるLIMITED版になるのだが…

投稿者プロフィール

有川 凛
有川 凛
財団法人RINDA foundation JAPAN創設者/代表理事
株式会社らしゅえっと代表取締役
NPO「恩渡しネットワーク」代表

2014年1月より、「生きやすさ」と「循環(持続可能性)」の2つのキーワードを活動ポリシーに、除菌水シリーズ「まましゅっしゅ」の商品企画、制作、販売。2年連続で「キッズデザイン賞」を受賞し注目を集める。

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