貧困の中に生きる子どもの権利とは

「貧困」という環境に生きる子どもに目線を合わせ、「子供」と「女性」にフォーカスし、今までの事をベースに「何が不足しているのか」を考えます。その上で、私たちに「何ができるのか」を述べたいと思います。

 貧困に生きる子供たちと母親である女性の環境

カンボジアにおける子どもの性的搾取と人身売買(甲斐田万智子著)」によると、カンボジアでは、人口の34%にあたる人々が 1 日1ドル以下の生活をしているといわれており、それに伴う教育のアクセス不足が発生していると書かれています。

また、「国際協力のレッスン 地球市民の国際協力論入門 (牧田東一編著)」によると、2010 年に 5歳未満で命を落とした子供の数は 800 万に上る(1日平均 2 万 2,000 人の子供の 5 歳未満児が死亡)とあります(「2012 年世界こども白書」)。

そこで、ここではまず以下の2点について纏めます。

(1)子供を産み育てる「女性」の環境がどのようになっており、それにより何が引き起こされているのか。

(2)世界中の小さな子供たちの命が「年間、どのくらい失われ」、また「死因の原因」は何なのか。

 

貧困国(カンボジア)における「女性」の環境について

~女性の教育のアクセス不足により引き起こされるもの~

農村などでは仕事がなく、貧しい農村では親の資金不足により簡単に騙されやすい環境にあります。こういった背景から 10 代の娘を簡単に人身売買のブローカーへ手渡すケースが多いと書かれていました。

また、このような環境で育った子供が親になった場合、同じく貧しくなりやすく、産まれた娘に対しても自分と同じような状況を母親が強いるケースが多くあると書かれていました。

例えば、「家族が借金を負った場合に、娘がその借金の返済のために働くことが当然と考える社会がある」とあり、これはカンボジアに根付いた「親孝行をする義務がある」という伝統的な考え方に基づいたものであると書かれています。

カンボジア社会で女子や女性の行動を規定するために、「よい妻や母親」になるための女性のふるまい方を示した「女性規範(Code for Woman)」を作られています。ここには、カンボジア女子が、小さい時から、親に従い、家の内外において親の仕事を手伝うことが定められています。

「親孝行をする義務がある」という考え方は素晴らしいもので、受け継いでいくものだと思います。でも、子に「負の遺産」を否応なしに引き継がせていく文化というのは、考え方の乱用だとも思います。

一方、裏を返せば「貧困」という連鎖を断ち切れない環境が「お金になってしまう女性を売る文化」を築いてしまったとも言えます。

また農村地域においては、中学校に行かずに働き始める女子が多く、この女子・女性の「教育レベルの低さ」が以下のような新たな「負の連鎖」を巻き起こす原因になっていると書かれています。

<教育レベルの低さが引き起こす「負の連鎖」>

① 人身売買のブローカーに騙されやすい
② 病気予防に関する知識欠如による様々な病気の感染
③ ②による医療費により借金の増加を生み出す
④ さらに女性の貧困化が進む

 

また、上記②により、HIV エイズに感染するケースも増加し、妊産婦死亡率が非常に高く、稼ぎ手である「女性=母親」が死亡するケースが多いと書かれています。

上記のケースにおいては、「家族が借金を負った場合、娘がその借金の返済のために働くことが当然であると考える」社会基盤が根付いているため、年長である「娘」が家族や兄弟を養うために働きに出ざるを得ない「理不尽な女性に対する悪環境」が強いられている事も記されています。

 

子どもたちの死因について考える

カンボジアを例にしましたが、もう少し世界の貧困層に目を移します。

「2012 年世界こども白書」によると、2010 年に 5 歳未満で命を落とした子供の数は 800 万に上る(1日平均 2 万2,000 人の 5 歳未満児が死亡)と書かれています。

<死亡の内訳>
・ 37%が新生児、69%が 1 歳未満児の死亡

<死亡原因>
・ 大部分が「感染症」によるもの:「肺炎」「下痢性疾患」「出生児の合併症」
・多くが「栄養不良児」=「低体重」の子供たち

また、南アジアは特に 5 歳未満の栄養不良割合が世界で最も高い地域で、2005 年に生まれた子供の45%が低体重であると書かれています。

<原因>
・ 妊婦である「母親」の栄養状態が悪い
・ 女性が自分や胎児のために食料やお金を使う「権利が与えらえていない」

また、妊娠中や産後においても十分なケアが受けらないため、母親が妊娠・出産が原因で亡くなり、母親を亡くした新生児は、2 歳になるまでに死亡する確率が高いとあります。

以上のことを踏まえて、何が必要なのかを考えてみます。

 

貧困国の子育てに必要なことは?

産まれた子供が人として生きるサイクルの中で「幸せ」をより多く感じられる人に育てるには、子供を産み育てる「女性」が、確りとした意志と権利を持つことができる「社会基盤の確立」が不可欠であると考えます。

日本にもようやく「女性の社会進出」ができやすい環境が、生み出されつつありますが、まだまだ課題は残ります。

しかし、現在、私が幸せに子供を産み育てることができるのも、法律の規制という権利を守る基盤があり、端的に申し上げると、性差にかかわらず、

「生きていくための権利」
「教育を受ける権利」
「仕事の選択の自由」

などが普通にあるからです。

ここで言う「生きていくための権利」とは、女性が同じ人として十分な食事をとり、そのために金銭を使うことを普通に主張できる権利です。

これがない事には、女性が健康で、そして胎児を健康的に育て、オギャーという元気な泣き声とともに赤ちゃんを健康的に育てることはできません。

そして貧困国において、女子が教育を受けられない理由の一つに「娘は結婚して家庭に入るため、教育を受ける必要がないと考える」意識が根付いているようです。

しかし、女性は家庭に入り、子供を産み・育てていく立場であるからこそ、未来を生きる子どもにきちんとした智慧や工夫、人としての生き方や愛の育み方を教育し、次の世代へ継承していく必要があると私は思っています。

 

循環を生む構造を考え、好循環させる文明を築くこと

日本では「読み」「書き」「そろばん」といいますが、人と知性を持ってコミュニケーションを交わす中で、最低限必要となる教育がきちんとされない限り、文字を読んだり書いたり、計算ができません。

そして、教育を通じ、「性教育」や「病気の予防・感染」を含め、自らが健康的に生き、子供をしっかり育てていく知識も、しっかりと根付かせていく必要があると思います。(この部分については先進国であっても同じです)

また、「娘は親である母親が、娘の将来を決めることに逆らうことはできず、親孝行が義務である伝統的な考え方がある」とありますが、『木の上に立って見る』と書いて「親」。

木を「子供」にしてはいけません。わざわざ木の上に登り見渡し、何を確認しているかといえば、「子供の将来に広がる幸せ」であるはずです。

今ある風潮が悪循環を生んでいくものであれば勇気を持って断ち切り、子どもを踏み台にせず、娘や息子が負債を抱えなくてもよい制度を、国が、何かしら作っていく必要があるようにも思います。

そのためには、お金を保有している先進国のサポートが必要でしょう。先進国は、人件費が安い「貧困層」を自分たちの利潤追求のためだけに利用するのではなく、同じ地球に生きる人として、「最先端を生きる人として」彼らが普通に

「食事を食べる」
「教育を受ける」
「生きていくために必要な賃金を生み出せる雇用を作る」

これらのことに、手を差し伸べなければなりません。

雇用を生み出すだけでなく、「生きるとは何か」「お金とは何か」「仕事とはなにか」というそれぞれの意味。そして「仕事に対する誇りを持たせる」ためのしっかりと啓蒙することも必要です。

それは「政府機関」だけが考えることではなく「民間企業」も一緒になって考えるべきでしょう。民間企業においては「単なる自社に特化した生き残りの CSR」ではなく、「地球全体のサスティナビリティー」を考えるべきです。

これまでの「破壊と創造を繰り返す力・権力の所有の文明」ではなく、「循環を生む構造を考え、好循環させる文明」を築くことが、今こそ求められているように思います。

これは何も途上国に限った話ではなく、先進国においても同じような啓蒙と教育が必要だと思います。

 

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投稿者Profile

有川 凛
有川 凛RINDA foundation Founder & 代表
持続可能な『生きやすさのEqual』があるフラットな世界を目指して、2017年8月、インド国内で非居住者の日本人女性が代表となるCSO組織 財団法人RINDA foundationを設立。
代表取締役を務める(株)らしゅえっと では、インド国内でおしぼりを製造するHYGIYA社と協力。インドの衛生環境の改善と貧困層の雇用推進を目指し、インドで除菌水「まましゅっしゅ」の製造販売を展開するなど、その活動範囲は世界に広がっている。